●枯れた妻 題名:前立腺がんの手術後に性欲がある夫に困っています 投稿日 : 2005年5月30日<月>10時03分/東京都/女性/51才 返信

この1年間悩んできたことを、
もしかしたらこの掲示板でアドバイスをいただけるかもしれないと期待して、
ぶしつけですが、具体的なご相談をいたします。
65歳の夫は昨年3月に前立腺がんにより前立腺の摘除手術を受けました。
「もうトシだし、完璧な手術をして術後の再発リスクを下げられるのなら」
という本人の殊勝な決断により、
勃起神経の温存は行なわず、精嚢、輸精管なども切除しました。
術後2ヶ月でPSA値が0.001にまで下がり、
がんの再発の心配がなくなったら、私にとっては残念なことに、
精神面で余裕が出てきたからでしょうか、本人の性欲が復活してきました。
勃起神経がないので、興奮しても陰茎の体積はほんのわずかに増えるのみで、
通常の性交は不可能なのですが、
手術前の最近10年ほどは私が手と口で大きくしてあげてから
私に挿入するのが習慣となっておりましたから、
昨年の初夏に夫に頼まれて手と口でマッサージをしてあげたところ、
夫は勃起なしでドライオーガズムを経験したようです。
神経温存術をしなくても勃起しなくても絶頂感があるなんて、
どの本にもサイトにも載っていないために驚きました。
本人は「手術前の7・8割、時には10割の快感がある」と言っております。
私にとっての問題はこのときに始まりました。
手術前の夫は体臭だけでなく浸出液、精液がかなり臭かったのですが、
前立腺がんだとわかり、私は内心「だからあんなに臭っていたのかしら」と納得し、
また、もういやな思いをしてオーラルセックスをしなくてもよくなるのが
内心うれしい気持ちでした。
オーラルセックスで口腔がんの危険性が高まるなどという情報もあるのに、
夫の過剰性欲に応えて、せっせと相手を努めてきたため、
今では「お前にやってもらわなければだめなんだ」と言い張って、
頻繁にオーラルセックスを要求します。
そして3回のうち1回はドライオーガズムではなく
ウェットオーガズムになります。
放出される液体は精液ではなく少量の尿です。
私は4年前に乳がんが見つかり、温存手術後に術後補助療法として
フェアストンによる女性ホルモン排除療法をうけておりますので、
性的欲求はほとんどありません。
私が嫌がるので過去の浮気相手に連絡して、どこかで会ってきたようですが、
上首尾とはいかなかったらしく、
「やっぱり他の女では無理だからお願いします。」と駄々をこねられ、
今年になってからはできるだけ我慢させて
1ヶ月に1度の頻度で相手をしております。
以前は頼もしく思えた年齢差の魅力も
今の老人臭が漂う夫の身体には感じることができず、
いい年をしてセックスの快感をいまだに追及する夫への嫌悪感がつのります。
「風俗店なら上手な女性がたくさんいるでしょうから行ってみたら?」
と提案しても、
「若い子には色気を感じないし、不特定多数の相手をしている女は嫌だ。」
と言って拒否します。
PSA値が上昇して再発の疑いが出れば、
ホルモン療法で男性ホルモンを押さえることになりますが、
夫の性欲が自然に枯れるときよりも、
私が我慢できなくなるときのほうが早く来そうです。
子無しの専業主婦の私が自活するのは厳しそうですが、
こうなったら離婚して夫の要求から逃げるしかないかと考え始めました。
姉弟や友人にも相談できずに困っております。
先生のご意見をお聞かせ願えませんでしょうか。
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Res:Dr.M 投稿日 : 2005年5月30日<月>19時56分

これは久々の壮絶な相談内容です。
最初に疑問の部分にお答えしますが、
男女とも達するのは脳内現象なので、射精しなくても達することはありえます。
(女性は何も射出することなく達しているわけですし)
後の処理が面倒だからと射精しない自慰をしていたり、癖で萎えさせて射精する男性もいます。
私もこの掲示板を始めてから投稿で知ってかなり驚きました。

さて 勃起もほとんどなく、射精もないのにかかわらず激しくオーラルを求める夫。
性欲も無く、臭いに耐えながらそれに応じることは大変な努力と忍耐が必要でしょう。
あなたの気持ちをまるで考えないで それをしているなら彼は自分勝手で失礼です。
癌の後のもがきや渇望で性欲が異常昂進しているのかもしれませんが、
そんな状況で性具的な奉仕をしているあなたはあまりに自分が惨めで情けない。
愛のかけらはまだ少しでも残っていますか・・。

さて、この難問への回答ですが、
人は大きな壁にぶつかって決断を迫られる時、選ぶ道は三つしかありません。
逃げるか、変えるか、耐えるか です。
生理的にも精神的にも もう耐えるのは限界に近い状態のようですから、
あなたの愛も枯れているなら もう逃げるしかないと思います。
もうこれ以上耐えられないので逃げると宣言すれば、まだ何かが変わる可能性はあるのではと思います。
それからまた考えたらいかがでしょう。

Res:枯れた妻 投稿日 : 2005年5月31日<火>09時55分/東京都/女性/51才

早速のご回答、ありがとうございました。
今まで溜まっていたものを吐き出して、
先生のご意見を伺えただけで、少しは気が晴れました。

蛇足ですが昨日書き忘れたことを追加いたします。
ホルモン療法による更年期の真っ最中ですが、
私には自発的な性欲はなくても性感は残っていて、
ペッティングされて何度も達したあとに、 夫へのOSをさせられます。
夫によると「フィフティ・フィフティの行為」なのです。
どんなに言葉で「嫌だ」と言っても、 私の体が反応してしまうのを見て、
事態の深刻さが理解できないのかもしれません。
夫は精力旺盛で、この30年間、どんなに仕事が忙しいときでも
最低でも週に一度は私の相手をし、
そのほかにも何人もの浮気相手が常時いたようです。
久しぶりに夫への「愛情」について考えてみました。
愛があったらここでご相談しなかったでしょうね、きっと。
恥をさらすついでに、もうひとつ質問させてください。
OSでも性病が喉頭部に感染するそうですが、
この5年ほど、OSのあとの2・3日は
夫の体臭や分泌物と同じ悪臭のする濃厚な痰(または膿)のようなものが
大量に次々と喉の奥から出ます。
「性欲過多で浮気者の夫から移されたかもしれないから
性病の検査をしてください」
と伝えるのが恥ずかしくて医師の診察は受けたことがなく、
また、毎回2・3日だけで症状がおさまるので
性病ではないはずだといい自分に言い聞かせていました。
屈辱感のために病院で泣いてしまいそうな予感がしますが、
このまま放置するわけにはいかないので
一度は検査を受けようと思っています。
このような症状の場合の受診科目は何でしょうか。

学生時代に知り合ってから30年、
夫以外の男性との性体験も社会人としての経験もなく、
家で引きこもりに近い生活をしておりました。
この10年ほど、 年に2・3回は「今のままなら別れる」と
私から口にしてはきましたが、有言不実行が続いたためか、
今では夫に対する脅し文句になりません。
夫に依存して生きるのが当たり前のような気がして鬱々としておりましたが、
「今まで一人で生きたことがない」のは
「これからも一人では生きられない」のとは違うのだと自分に言い聞かせて、
逃げるための方策を考えてみます。

過去の掲示板を拝見して、
先生回答のお言葉、なかなか奥が深く、考えさせられました。
岸田秀氏の本、物置のダンボール箱の中に何冊か入っているはずなので、
探して読み直してみます。

Res:Dr.M 投稿日 : 2005年5月31日<火>17時22分

追加された内容から回答も大幅に変更しないといけませんね。
まず質問の件ですが、とりあえず痰のひどい時に耳鼻咽喉科で診てもらったらいかがでしょう。
元々の病気がそんなに長く治療もなく続いているとは思えませんけれど。

あなたの不幸は夫君の癌以前から始まっていたということだと思います。
しかしながら、この不幸の責任はすべて一方的に夫君にあったのではなく、
あなたもなんらかの形でそれを呼びよせていたのだと思います。
もっと早く不幸を感じ、それをかわす能力があったなら、すでになんらかの決断と行動をしていたはずです。
いままで先送りになっていたのは、それがまだ耐えられるものであったか、
耐えられないと思いながらも あなたの心の奥に自虐嗜好や破滅願望が潜んでいたのかもしれません。

もし仮に今すべて解放されて、一人椰子の木の下でのんびりできるような時間がうまれたとしても、
あなたは遠からず落ち着かなくなり満たされなくなるでしょう。
心に空いた空洞を埋めてくれるはずの物語がもう何も無くなったことを知るからです。
人は物語がないと生きていけない動物です。
それがどのように辛く酷い物語でも、思い出のない人生はさらに寂しく虚しい。
なにもなかったからシアワセではないでしょう。

Res:枯れた妻 題名:ありがとうございました 投稿日 : 2005年6月1日<水>17時03分/東京都/女性/51才

率直過ぎる相談内容でしたが、
真摯にお答え下さった先生に深く感謝しております。
ご相談前よりもいっそう寂寥感が増したような気がします。
けれども、過去の無数の選択の結果として今の状況があるのだから、
自分で招いた事態・・・なのですね。
今回の投稿と先生からのご回答は、
それだけで私にとっては大切な物語になります。
ありがとうございました。

Res:Dr.M 投稿日 : 2005年6月1日<水>21時07分

物語はまだ続いているんです。
これで終ると思って悲観することはありませんよ。
マイナスばかりの物語もありません、次にはプラスがあるのかも。
雨も降り続くことは決してないと考えましょう。

それではこれで。。